事件ファイル
探偵ケイシャと赤い猫のナゾ


プロローグ
美しき坂の街「ブンキョウ」。その日、街角で一人の住人が奇妙な男に出会った。
「この辺りで“赤い猫”を見かけなかったかい?」
そう声をかけてきた男は、礼儀正しく微笑みながらも、どこか影のある佇まいだった。
「おっと、角が立つ言い方をしていたら失敬。我が名は坂道探偵ケイシャ。エッジの効いた、傾斜の強い事件を愛するしがない探偵さ」
男は、何かに取り憑かれたように、赤い猫の行方を追っているという。
「実は、とある事件で世話になった猫を探していてね。よければ手伝ってはくれないか? なに、心配はいらない。斜め上をいく報酬を約束しよう」
返事を待たず、男はその手を取って坂道を歩き出す。
こうして、探偵ケイシャと赤い猫をめぐる、不思議な探索が始まった。
謎の始まり


街を歩くと、住人たちはどこか浮き足立ち、そわそわとしている。
坂の途中、商店街の一角、大学の構内、出版所の裏手——
人々は口々に、つぶやく。
それぞれの場所で、赤い猫にまつわる“問い”が待ち受けていた。
「坂道で滑っても安心? ブンキョウの街には大学病院や医療機器の会社が多いのよ?」
「最近は媒体も多様化していて… 町の声に耳を傾けて、ってことデス」
「この商店会の数と歴史、話をちゃんと聞いていたのか試してやるぞ!」
「ベンチャー支援? 自分、それにはノーコミットっスね…」
街の声はにぎやかに、そしてどこか暗号のように耳へと届く。
断片的な証言を拾いながら、ケイシャとカクドは坂道を巡る。
その途中、古びたポスターの隅に“赤い毛”のようなものが貼り付いていた。
「ふむ……気配は、確かに残っているな」
探索:4つの知恵の坂
ケイシャとカクドは、赤い猫の気配を追いながら、街の4つの坂を巡っていった。
坂の上では、医療と研究にまつわる知識が語られ──
出版の丘では、紙とデジタルの未来が問われ──
商店街の通りでは、歴史の重みと人々の声が響き──
そして若者が集う高台では、新たなビジネスの気配が漂っていた。
「それぞれの問いは、一見バラバラだが……何か一本の筋でつながっている気がするな」
ケイシャは呟き、足を止めた。
4つの場所。4つの知恵。そこに残された猫の気配を手がかりに、ふたたび事件の中心へと向かっていく——。
最後の謎
いくつものヒントを追い、すべての“問い”に向き合ったその時。
街角の向こう、坂の頂から、赤い猫が姿を現した。
「いた!! 追いかけるぞ!」
ケイシャの声が響くと同時に、猫の影は坂の向こうへと消えていった。
その姿は幻だったのか、あるいは本当に、何かの“予兆”だったのか。
こうして、一つの探索は終わり、また新たな謎が、次なる事件の気配とともに、ブンキョウの街に広がっていく。
